ソーシャルサポートの研究は「人と人の結びつき」が人々の健康とどのような関連があるかという関心から始まったようです。コッブ(Cobb 1976)はソーシャルサポートを情報と考えました。ひとによる行為から「情報」を受けることによって、その人が「私は助けられた」「愛された」「承認されている」などと感じるときに、それをソーシャルサポートと呼ぶことを規定してみることを始めました。そしてそれは様々なストレスを退け、社会的な欲求を満たしてくれるものではないかと考えたのです。
ソーシャルサポートの研究は様々な形で発展し、「受容されるサポート」とは何か。サポートにはどんな種類や機能があるかなどについて研究が進められてきました。研究者によって、ソーシャルサポートの定義も様々なものになっています。ソーシャルサポートの研究者である浦(1996)は、その著書で「人と人が支え合うことの諸相」と総称するにとどめその定義付けの多様さを紹介しています。
<学ぶべきこと>
ソーシャルサポート論では、ソーシャルサポートの効果や結果についての研究も盛んに行われていますが、支える人と支えられる人の関係性について学ぶことが重要な項目になっています。支援を受けるということはその人は「弱々しい人」というイメージが付きまといます。「持っているひと」が「持っていないひと」を支援するという支援の方向性は、その人が自分自身の人生を自分でコントロールしながら生きて行くということにおいては矛盾する部分があります。「受容されたサポート」や「ネガティブ・サポート」という概念はサポートは単に提供されれば良いというものではなく、サポートが誰かから、どんな方法で支援されたかによってその質や効果は大きく異なるということを示しています。カプラン(Kaplan 1974)の研究では未亡人への支援について、専門家による構造化された支援のみでなく、他の未亡人からの支援がとても役に立ったことを報告しています。
サポートの種類については、「道具的サポート」と「情緒的サポート」の2種類あるいはこれに加えて「情報的サポート」の3種類が挙げられています。
「道具的サポート」とは
「情緒的サポート」とは
「情報的サポート」とは
『人は「支えてほしい人」に「支えてほしい方法で」支えられたときに「支えられた」と受け止める』と言う考えかたを採用しています。支える側の都合だけで走るのではなく、支えられる側の「受け止め」を思考します。そして立ち返って支える側の「状況」も捉えてゆき、そしてその相互作用である「支え合い」を考えることになります。
<読んでおくべき本>
「支え合う人と人ーソーシャルサポートの社会心理学」浦充博 サイエンス社(1996)
「地域ぐるみの精神衛生」カプラン著 近藤喬一訳 星和書店 (1979)